1. 長いテーマを、短くも長くも持てる運用へ
最初に比較する主候補は、方向を固定し、保有量は状態に応じて変える運用。AIは買いか見送り、SaaSは売りか見送り。両側を同額にせず、片側だけ持つ期間も認める。
模式図:テーマの継続期間と、一回の保有期間は別。帯の長さは測定値ではない。
売買量を減らせば、その部分の損益が確定する。だから「利確」という別の目標を置くより、保有を続ける・減らす・増やすのうち、今の条件でどれが有利かを同じ物差しで比べる。
- 数%上がったら必ず売る、という固定利確は主案にしない。上昇後も期待収益が残るなら保有できる。
- 常に残す長期保有枠も必須にしない。持つ理由がなくなればゼロまで落とす。
- 取得価格に戻るまで待つ、前の売値より安くなるまで買わない、という条件も置かない。
これは検証に進めるための具体的な運用モデル。最適な保有期間や利益の改善幅は、まだ市場データで比較していない。
何が成立すれば、この運用を選べるか
AI側とSaaS側の予測機会は別々に調べる。その情報を受け取った後も値幅が残り、売買判断と費用を通して、継続保有よりよい成果につながる必要がある。
戦略成立条件マップ
各カードを押すと、その問いの比較・判定・判断への影響を開ける。横にスクロールすると最後の結論まで辿れる。
模式図:根拠から結論への接続。実線は判断の依存、破線は最後に必要な根拠の合流。P-Xは途中退出を採用する場合の枝であり、他の保有方式の必須条件ではない。時間順の売買フローではない。
P-A|AI側の入力に予測価値があるか。
- 比較:銘柄×一時間。過去だけで学習した価格モデルと定数予測を、同じ将来H・同じ期間で比較。
- 測るもの:予測誤差の減少と、予測順位に沿った将来リターンの差。
- 判定:改善が別期間でも残れば継続。十分な精度で差がなければこの表現を修正。短い履歴や幅広い区間なら判断保留。
- 判断への影響:AI側の予測を使うか。SaaS側の答えは別。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-S|SaaS側の入力に予測価値があるか。
- 比較:P-Aと同じ時計・比較をショート方向で独立に行う。
- 測るもの:下落方向の予測順位と将来リターン、予測誤差の差。
- 判定:別期間でも下落方向を区別できれば継続。逆転や差なしならこの表現を見直す。少数期間は不支持と断定しない。
- 判断への影響:売り続けるのではなく、有利な局面を選べるか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-C|観測してから発注しても間に合うか。
- 比較:確定バーの受信後、実際の処理遅延を加えた最初の気配で評価。元の終値で入った場合と区別。
- 測るもの:遅延後の価格変化・滑り・取引可能割合。
- 判定:遅延後にも関係が残れば売買へ進む。元時刻だけの効果なら実行価値を否定。実気配がなければ条件付き推計に限定。
- 判断への影響:予測情報を執行できる形で使うか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-E|参入の判断を足す意味があるか。
- 比較:退出規則を揃えて、選択した参入と継続保有・週内時刻をずらした対照を比較。投下量・保有時間の差を表示。
- 測るもの:費用後の資産成長差、平均保有額、売買費用。
- 判定:共通資金・リスク尺度でも差が正なら支持。単に多く持った効果なら参入の優位とはしない。
- 判断への影響:参入条件を採用するか、単純化するか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-X|途中で利確・撤退する判断に価値があるか。
- 比較:共通の参入時刻で、固定H保有と状態退出(最長H)を比較。別途、自由な再参入を含む全経路も再生。
- 測るもの:同じ参入からの純損益差と、次の参入機会の変化。
- 判定:同じ参入でも改善すれば退出寄与を支持。後続取引の差だけなら参入機会効果として分ける。
- 判断への影響:動的退出を採用するか。失敗しても他の保有方式は残る。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-K|勝ち幅が実際の費用を上回るか。
- 比較:signed数量・実約定・毎時funding・口座評価を再生。費用前後と厳しい費用条件を比較。
- 測るもの:現金に対する純成長、費用の内訳。
- 判定:純成長が正なら候補。費用前だけ正なら本案を採用しない。履歴費用不明なら実行成績は判断保留。
- 判断への影響:実資金で試す根拠があるか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-O|選んだ運用が別期間でも基準を上回るか。
- 比較:同じ資金上限・暦期間で、選択済み方式と継続保有を比較。未来の変動率でリスクを揃えない。
- 測るもの:費用後の対数成長差。下落幅・回復期間も並べる。
- 判定:十分な独立期間で主要差の区間が正、費用ストレスにも改善が残れば支持。差が曖昧なら保留。
- 判断への影響:基準から運用方式を変更するか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
P-R|その結果をどこまで使えるか。
- 比較:同じ損益を銘柄・AI/SaaS側・暦区間・外部/内部セッションで分解。特定銘柄除外も確認。
- 測るもの:改善の寄与集中、期間を変えた符号。
- 判定:複数の対象・局面で残れば範囲を広げる。集中が強ければ主張を限定。不在の相場局面は分からないと残す。
- 判断への影響:四銘柄の結果をテーマ全体へ広げてよいか。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
G|この方向性を、継続保有よりよく運用できるか。
- 比較:予測→執行→判断の結果と、純利益・期間外比較・適用範囲を同じ仕様へ結び付ける。
- 測るもの:費用後の成長改善と、そのリスク・適用範囲。
- 判定:P-O・P-K・P-Rの根拠が収束した範囲で支持。収益と下落がトレードオフなら単一最適とは呼ばない。
- 判断への影響:具体的な推奨方式と、残る取引条件を決める。
共通の価格パネル・予測・損益を再利用する。精密化は、判断が境界に近い場合や期間間で結論が変わる場合に限る。具体的な全期間分割は共通の検証記録へ。
2. 具体的には、何を見てどう売買するか
まずは四銘柄で、運用方式の違いを見る
AI側:買い/見送り
xyz:NVDA
xyz:AVGO
会話で挙がった半導体側の候補。AI関連という分類だけで買い続けず、その時点の予測が保有を正当化するかを見る。
SaaS側:売り/見送り
xyz:ZM
xyz:NOW
会話で挙がったソフトウェア側の候補。事業悪化を確認した企業一覧ではない。AIを使って利益を伸ばす可能性もあり、常時ショートはしない。
この四銘柄は利益が出た履歴から選んだ集合ではなく、最初に比較する小さな対象。MU・TSM・NET・CRWDも上場を確認したが、最初から対象を増やさない。取引可能性と投資の魅力は別に評価する。
入力は、予測に使う情報と費用を分ける
| 役割 | 最初に使う具体的な量 | 何を見たいか |
| 価格状態 | 過去4・24・120時間の各リターン、過去120時間の変動率 | 方向に沿った動きが続く場面と、反転・停滞する場面を区別できるか |
| 時刻の状態 | 外部市場の価格が更新される時間帯か | 外部価格がある時間と、内部価格中心の時間を混同しない |
| 追加候補 | mid/oracleの乖離、直近24回の確定funding平均 | 価格だけでは分からない割高・割安や保有の偏りに追加情報があるか |
| 両モデル共通の費用 | 実際の手数料、売買スプレッド、数量に応じた滑り、funding | 予測が当たっても、売買・保有費用で消えないか |
まず価格状態だけのモデルを評価し、その後、追加候補に本当に価値があるかを比較する。fundingを予測変数から外した比較でも、funding費用まで消してはいけない。
検証記録:予測モデル・時間幅・学習の具体化
- 一時間ごとに、確定済みのデータから軽い線形回帰の予測値を更新する。係数の再推定は月次とする。係数を縮めるridge回帰を使い、銘柄ごとに推定する。
- 予測対象は将来1・24・120・480時間の価格変化率。480時間は20暦日であり、20営業日ではない。四つの時間幅は短期から数週を比較する研究上の初期範囲で、最適値ではない。
- 過去を測る窓と、未来を予測する窓は別。過去4・24・120時間の対数リターン、120時間の一時間リターン標準偏差、外部価格有効フラグを入力する。将来の目的変数は単純リターン P(t+H)/P(t)−1。
- 標準化は学習期間だけ。平均二乗誤差+α×係数二乗和を最小化し、切片は罰しない。α候補は0.1・1・10。定数予測と価格状態モデルの両方を基準にする。
- 予測時間Hとαは過去の検証期間で選ぶ。最初の口座全体のモデルでは共通Hを使い、異なる時間幅の収益をそのまま足さない。AI/SaaSの時間別結果は別々に残す。両側で別Hにする拡張には、時間を揃える配分仕様を別途置く。
- 一時間より短い取引はこの初回比較では識別しない。先に超短期と決めたわけでも、数週以上の保有を禁じたわけでもない。
「あと何日持つか」ではなく、いまの目標保有量を計算する
保有する価値 = 予測する方向性の利益 − 予想funding − 値動きのリスク − 今の調整費用 − 将来の決済費用
この値が最もよくなる保有量を、売買方向・資金上限・証拠金の制約の中で探す。現在量を動かす費用もあるため、小さな予測の変化なら、そのまま持つ判断が残る。
模式図:目標量と現在量の差が売買になる。減額が「利確」か「損切り」かは、その時点の実際の損益による。
検証記録:目標保有量の式と、比較に使う資金条件
J(x) = Σ xᵢsᵢ(μᵢ,H − Fᵢ,H) − λ/2 · xᵀDΣ_HD x − C今(x−x現在) − C決済(x)
- xは口座評価額に対する保有額の絶対値、sはAIで+1、SaaSで−1、Dはsを対角に並べた行列。μは将来H時間の価格変化率予測。Fはロングの支払いを正とする同期間のfunding予測。売買方向の符号はsだけで付け、Fをショート用に再反転しない。
- funding予測の出発点は直近24回の確定率平均×H。oracle/mid換算も行う。将来の確定費用ではないため、実績検証では各時刻の実際の支払いで置き換える。
- Σ_HはH時間リターンの共分散。学習時点までに確定したリターンから推定し、対角外を50%縮小する。相関を測る目的は口座リスクの把握であり、市場中立にすることではない。
- 比較上の上限は総保有額を口座評価額の1倍、単一銘柄を0.5倍とする。本人のリスク上限として決めた数字ではない。同じ上限で売買方式を比べ、レバレッジ増加を改善と呼ばない。
- λは1・4・16の小さな比較集合。リスクへの重みの違いで収益・下落幅・回復期間がどう変わるかを示す。利益最大と損失最小が両立しないとき、万能の最適値を作らない。
- 将来決済費用は「その保有をいずれ閉じる費用」の見積り。H到達時に強制決済する命令ではなく、再計算のたび実損益へ重複請求する費用でもない。
- 数量刻み・最低注文額・証拠金を満たす実行可能な量へ調整する。同点は売買量が小さい方、その次に保有額が小さい方を選ぶ。
- これは毎回見直す有限期間の近似。将来の状態遷移まで解く動的最適化論文の厳密な最適解を、そのまま再現したものではない。
保有期間は、目標が残る間だけ延びる
模式図:先の収益を見る窓を毎回更新する。一回目に設定したHが、決済日になるわけではない。
| 状態 | 動かし方 | 再び増やす条件 |
| 良い予測が続き、費用に見合う | 維持、または増額 | 新しい予測からさらに保有価値が増える |
| 予測の強さが低下したが、保有価値は残る | 一部縮小。含み益があれば一部利確 | 価格下落に限定せず、現在の入力から価値が回復する |
| 方向性の利益が費用・リスクに見合わない | 全決済し、待機 | 次の判断時点で、再度入る費用まで賄える |
| AIとSaaSの片側だけに機会がある | その側だけ持つ | 他方のバランスを取るためには増やさない |
日々の運用を、判断の頻度ごとに分ける
- 常時:証拠金、板の更新、取引停止、oracle状態を監視。相場が急変しても定時まで放置する設計にはしない。
- 一時間ごと:データが確定・到着した後に予測と目標量を再計算。差があっても費用に見合わなければ取引しない。
- 新規・増額:初回案は米国株の通常取引時間内に限る。休日・夏時間・短縮取引を反映。時間外の縮小・決済は可能とし、時間外で増やす拡張は別比較にする。
- 月次:その時点までの確定データで係数を再推定。最終評価の結果を見て、都合よくHやルールを選び直さない。
- 決算・企業行動・契約変更:方向性の根拠と取引対象の妥当性を再点検。分割調整前後の価格を別物のように混ぜない。裁量で上書きする場合はモデル成績と分けて残す。
5. この形にすると、何が解けるか
利確と再参入が、同じルールでつながる
「利益が乗ったから売る」と「長期では上がるから買い直せない」の衝突を避けられる。取得価格からの利益ではなく、次の時点の保有価値に戻るので、売値より高くても再び買う場合があるし、安くなっても見送る場合がある。
テーマへの確信だけでは、売買の速さは決まらない
数年の方向性が正しくても、短期で入れ替えるほど費用が増えるなら長く持つ方がよい。逆に有利な状態が短くしか続かないなら、一度閉じて待つ方がよい。この違いを、保有期間の好みではなく実際の価格経路と費用で判断する。
一番大きな弱点は、「今からの利益」を測れるか
最適化の式があっても、予測が役に立たなければ利益は生まれない。まず単純な価格モデルで、どの時間尺度に判断材料があるかを測る。売買を複雑にするのは、その結果から必要性が分かった場合に限る。
Q&A
途中で全て利確した後、上がり続けたら?
次の判断で再度保有する価値が費用を上回れば、前より高くても買う。上回らなければ見送る。取り逃しをゼロにするため常時持つ方がよかったかも、継続保有との比較で測る。
これではAIテーマではなく、ただのトレンド取引では?
テーマは対象と売買方向を決める。価格モデルは、その方向をいつ・どれだけ持つかを決める。利益が出てもAIによる利益移転を証明したことにはならない。テーマ以外の市場上昇や循環で説明できるかは、収益の内訳として分ける。
利益が出たら一定額を引き出す仕組みは?
口座からの出金は、ポジションの利確とは別。今回の比較は含み損益を含む資産成長を対象にし、定期出金や利益額ノルマを勝手に追加しない。
もうこの数字で実運用してよい?
まだ成績を比較していない。時間幅や資金上限は研究の開始設定であり、稼働用の推奨値ではない。履歴・費用を確定して比較し、実運用時には実口座の証拠金方式と発注条件を別途反映する。